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リハート、それは心癒す日々。

美容内科医 服部達也 ブログ
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風邪と薬

すっかり風邪にやられてしまった。
先週の火曜日の夜あたりから喉がいがいがして、次の日から発熱(医療現場では熱発:ねっぱつという)。
座っているのもままならず、木曜日と金曜日は午前中だけ診療して午後は休診させてもらった。
いまは熱がおさまり、咳と痰だけになった。
まあ、もう少しかな。
咳こんで夜眠れないのが、いまの悩み。


さてさて、このブログでは数年前に風邪のときの薬や抗生物質の使い方について書いたけど、いまだにその記事がアクセス数2番目になっている(1番目は医者の恋愛事情)。
一応、風邪のときの薬についてまとめてみようと思う。

・風邪を治す薬はない
風邪はウィルス感染症である。
細菌による上気道炎も風邪と呼ぶことがあるけど、一般的にはライノウィルスとかアデノウィルスとかRSウィルスなどのウィルスによる上気道炎を風邪(または風邪症候群)と呼ぶ。
対して、よく処方される抗生物質は細菌感染を治す薬である。
風邪はウィルスによる感染症なのだから、細菌に対する薬である抗生物質を飲んでも意味がないことがわかるよね。
じゃあ抗ウィルス剤を飲めばいいじゃないと思うかもしれないが、風邪の原因となるウィルスは変異が激しく、効果の出る薬がつくれない。
つまり、風邪はウィルス性疾患であるから抗生物質は効果がなく、有効な抗ウィルス剤もないため、風邪を治す薬はない・・・ということになる。

・医者にかかると抗生物質を出されるのはなぜか
これも昔ブログに書いたが、バイトをしていた病院の院長が風邪の患者さんに必ず抗生物質を処方しているので、風邪に抗生物質を処方するのはなぜですか?と質問したところ、感染性疾患に抗生物質を処方しないなどという変わった医療はうちの病院でしないでくれ、と怒られた。
この医者は、風邪に抗生物質が効くと本気で思っていたのである。
私も大人げなかったと思うが、学生の教科書から「風邪には抗生物質は無効」と書かれたページをコピーして院長の机に置いておいた。
くびになったのは言うまでもない。

ほかにもなんで風邪に抗生物質を処方するのかをいろいろな医者に聞いてみたが、明確な回答が返ってきたことがない。
つまり、風邪に抗生物質を処方する医者のほとんどは、何も考えずに抗生物質を処方してしまっているか効くと勘違いしているのだ。

もちろん、風邪に似た病気で、抗生物質が効くものもあるから(マイコプラズマとか細菌性の上気道炎・気管支炎とか溶連菌感染症とか)、自分では風邪だと思っていても医者がこれは抗生物質を使うべき病気だと判断することもある。
抗生物質をいたずらに拒むのもよくないことがある。
とりあえず抗生物質を処方されたら、なんで抗生物質を飲む必要があるのか医者に直接聞いてみるといいだろう。
明確な答えが返ってこないとなると、こいつなんとなく処方してんな・・・と思ってもいいかもしれない。

・では、風邪のときに飲む薬とは
元から治す薬が存在しないので、症状を抑える薬を飲むことになる。
咳止め、鼻水止め、熱さましなど。
風邪は、その原因となるウィルスによって症状が異なる。
喉にくるもの、咳を出すもの、胃腸にくるもの。
いわゆる総合感冒薬は、それらすべてをカバーするような薬を混ぜ込んでいるから、もしかしたら必要のない成分まで取り込んでしまうかもしれない。
咳と痰だけなのに熱さましを飲む必要はないし、胃腸の風邪なのに痰切りを飲んでも意味がないだろう。
一番いいのは、医者に症状をきちんと聞いてもらい(診察も受ける)、それに対する薬を処方してもらうことだ。
ただし、風邪は途中で症状が変わることもあるから、そのときは薬の種類を変えてもらう必要があることもわかっておかなければならない。

・後医は名医
風邪にを治す薬なんてないのだが、患者さんはすぐに治る薬をくださいと言ってくる。
とりあえず症状を抑える薬を処方するが、最初のころは風邪の勢いが強く、薬で完全に抑えることは難しい。
そうなると、患者さんはあの医者の出す薬は効かないからほかの医者に行って薬をもらおうと、ほかの病院に行く。
そのころには風邪の勢いもおさまっていて、しっかり症状を抑えることができることが多い。
前の医者が出した薬を参考にすることもできるし、結構楽だ。

患者さんからすると、今度の医者が出してくれた薬はしっかり効いた、自分の体質にはこの薬が合うんだなと思ってしまう。
後から見た医者のほうが名医に見えてしまう。
後医は名医、よくいったものである。

ときどき、前かぜをひいたときに出された抗生物質がよく効いたから今回も同じ抗生物質を出してください、と患者さんに言われることがある。
名医である後医が抗生物質を出してしまったのかもしれない。
本当はその抗生物質が効いたわけではなくて飲まなくてもその風邪は治っていたはず。
・・・罪作りなものだ。


ということで、風邪に効く薬はなくて症状を抑えるだけだから、不要な薬は飲まずにその症状に合った薬だけを飲むことが大事。
そして、症状を抑えている間に休んだり栄養を取ったりして自力で治さないといけないから、医者にかかってすぐに風邪が良くならないとしてもそれはしかたないと理解しなければならない。

あと、風邪をきっかけに細菌感染やほかの病気を併発することもあって、そのときは別の治療を加えなければならないこともあるから、自己判断もよくない。
信頼できる医者を見つけてよく相談すること。
これが一番大切で難しいことだったりするけどね。

ちなみに、ハートリークリニックは美容クリニックだけど、診察するときに内科の相談をする患者さんもいてできる範囲でアドバイスもしているから、クリニックに来たときは遠慮なく何でも聞いてほしい。
知らなくて答えられないこともあるけど。
分からないことはわからないとちゃんと言うし、調べられることは調べて回答するから。
とりあえず聞いてみて。

| 服部達也 | 薬・抗生物質 | 17:59 | comments(6) | - |
抗生物質の投与方法

前回は、抗生物質の種類と選び方についてつらつらと書いてみた。
では、どれくらいの量を何日間くらい使うのが適切なのであろうか。

昔(といっても10年位前)まで、日本では抗生物質を1日3回投与することが多かった。
点滴だと1日2回。
だが、医学の進歩により、抗生物質の効きかたも研究されてきて、投与方法が昔とは大きく変わったものもある。

抗生物質の体内での濃度やその推移を薬物動態といい、抗生物質の強さを薬力といい、それぞれPK、PDと略する。
このPK-PDの研究により、抗生物質をどういうふうに投与すると効率的に効くのかが分かってきた。

たとえば、βラクタム系の抗生物質は「時間依存性」で、効果的な血中濃度が長い時間続いたほうがよく効くということがわかった。
ということは、投与回数をある程度増やして使ったほうがよく、いままでのように1日3回投与するのが適切だということになる。
よく処方されるフロモックスなどは、1日3回1錠ずつ飲めばいいのだ。

一方、ニューキノロンなどの抗菌薬は「濃度依存性」で、最高血中濃度が有効性に関係するということが分かり、少ない回数でもどばっと投与したほうがいい、ということになる。
クラビットという抗生物質は、私が医者になった頃は1日3回1錠ずつ投与されていた。
しかし、感染症グループの先輩医師から、クラビットは血中濃度を高めたほうがよく効くよと教えられ、それからは1日2回2錠ずつ投与することにした(1日4錠だね)。
ただこれは、保険では認められていない投与方法であり、あまり日本では知られていない投与方法だったので、多くの医者から非難された。
ところが、だんだんそういう投与方法が認知され、いまでは1日1回で5錠分(!)を飲めばいいということになった。
もちろん5錠飲むのではなく、ひとまとめになった薬が発売されている(かなり大きい)。
しかも、小分けにして飲むのと比べ、一度にたくさん飲んでも副作用は変わらないということが確認されているので安心だ。

薬によって、どれくらいの量(ミリグラム)を使えばいいのか決まっているのでそれに従う。
クラビットをまねてたくさんつかえばそれだけ良く効くということはなく、ちょうどよい量の薬を使うことが大切だ。


使い方が分かったところで、あとは投与する日数だ。
これは決まりがないのが実際で、効果を見てしっかり感染がおさまるまで使う。
3〜4日投与して効果が見られなければ、薬を変更することもある。
少しよくなったからといって、勝手にやめてはいけない。
ときどき、抗生物質を熱さましのように考えている人もおり、熱が下がれば飲むのをやめてしまう場合もあるが、あくまでも感染を治療する薬なので、しっかり感染が治るまでは飲まなければならない。
自分で判断するのではなく、医者の指示に従うことが大事だ。

また、たとえば溶連菌のように、14日間投与することが望ましいとされているものもあるので、治ったように見えてからもしばらく飲み続ける場合もある。


とまあ、抗生物質には投与方法も違うものがあり、ただ適当に1日3回5日間処方していればいいというものではない。
意味のない抗生物質を適当に投与していると、耐性菌というものができてくる可能性があり、これは医学会全体の大きな問題となる。
みなさんも、病院を受診して抗生物質を処方されることも多いだろう。
そのときに、医者にどういう理由でこの抗生物質を選択したのか、聞いてみるといい。
まともな医者であれば、ちゃんと答えてくれる・・・と思いたい。

| 服部達也 | 薬・抗生物質 | 17:20 | comments(9) | - |
抗生物質の使い方

今月中に、抗生物質について何か書こうと思っていたので、とりあえず基本的な考え方についてまとめてみる。
これはあくまでも一般の人向けのブログなので、難しいことはなるべく避けて書いてみるつもりなので、もし専門の人が見ていてもあまり間違っていなければ突っ込まないでほしい。


*以下の灰色文字のところは、めんどくさければ飛ばしてください

抗生物質や抗菌剤と呼ばれるものは数十種類もあり、おおまかに20グループくらいに分けられる。
それぞれ発見、発明された年代が異なり、効果を発揮する(ターゲットとなる)細菌が違う。

βラクタム系という抗生剤は、細菌が細胞壁をつくれないようにして細菌を殺菌、あるいは静菌したりする。
βラクタム系の抗生剤は数多くあり、セフェム系(ケフラール、セフゾン、メイアクト、フロモックスなど)、ペニシリン系(サワシリン、ペントシリン、ビクシリンなど)、カルバペネム系(カルベニン、メロペンなど)、ペネム系(ファロムなど)などがある。
ただし、細菌には細胞壁を持つものと持たないものがあり、βラクタムが効かないものもいる。

アミノグリコシドという抗生剤は、最近の蛋白合成を阻害し、効果を発揮する。
細胞壁を持っていなくても効くので、いろんな細菌に効果を発揮するのが特徴だ。
カナマイシン、ゲンタシン、アミカシンなどがある。

マクロライド系と呼ばれる薬は、このブログでも以前取り上げたが、クラリス、クラリシッド、エリスロシン、ジスロマックなどがある。
くわしくは、以前の記事を読んでほしい。

それ以外に、ケトライド系(ケテック)、リンコマイシン系(リンコシン、ダラシンなど)、テトラサイクリン系(テラマイシン、ミノマイシンなど)、クロラムフェニコール系(クロマイなど)がある。

他に有名なのでは、合成抗菌薬のキノロン系、ニューキノロン系という薬で、タリビット、クラビット、ガチフロなどである。

だいたい医療機関で処方される薬を挙げたので、実際に飲んだことがある薬も入っていると思う。

さて、とても分かりにくかったと思うが、何が言いたいかというと、これだけたくさんの種類があり、それぞれ多くの抗生剤があるということ。
では、これだけの中から、どの抗生剤を選んで使うか、どうやって決めているのだろうか。

たとえば肺炎といっても、原因となる細菌はいくつか種類がある。
いま診察している患者さんは、若い人かお年寄りか、糖尿病などの基礎疾患はあるのか、普通に家で生活していて肺炎になったのか、病院に入院している間になったのか・・・などによってその原因となる細菌が違い、なんとなくこれじゃないかと推測することができる。
熱の出方や痰の性状、痰の色や匂いも原因菌を推測する材料となる。
ちゃんと痰を検査すればどんな菌が原因か分かるのだが、その結果が出るまでとりあえず処方しておく抗生剤を選ぶときに、これらをもとにして原因となる菌を推測し、ある程度的を絞って投薬するのだ。
肺炎ではなく中耳炎であったり、副鼻腔炎であったり、皮膚の膿であったり、感染症はさまざまだが、それらも原因となる細菌がわかれるので、それも考慮する。

ある程度的を絞って抗生剤を投与することにより、不要な抗生剤の投与を抑えられ、耐性菌の発生を抑えられるし、患者さんには早いうちから症状を改善してあげることが可能になる。

また、同じ種類の細菌が肺で悪さをしているのか皮膚で悪さをしているのかでは、選ぶべき薬は変わる。
組織移行性といって、飲んだ薬が体のどこに届きやすいか届きにくいのかは、そろぞれ違う。
肺に効きやすい薬、皮膚に届きやすい薬を使わないと、本当はその細菌に効く薬を選んでいるのに、細菌が悪さをしている場所に届かないことがあり、意味を成さない。

こういうことをしっかり考えて、最初に出す抗生剤を選ばなくてはならない。
決して、付き合いのある薬屋さんからお願いされた薬を選んだり、結構名前を聞くなという理由で選んだりしてはならないのである。
まあ、厳密にここまで考えていることは混雑している外来では難しいかもしれないが、
いつどんな症状でかかっても、クラリス(やクラリシッド)ばっかり出す医者や、フロモックスしか出さない医者なんてのもいるが、それはまったくの間違いなのだということだ。


さあ、ちょっと難しい話になってしまったかな。
もうちょっとだけ続きがあるので、次回に持ち越しだ。

| 服部達也 | 薬・抗生物質 | 17:52 | comments(12) | - |
トレチノイン ニキビ治療
ようやく、トレチノインがニキビ治療に対して日本でも使えるように承認されました。
いやあ、めでたい。

トレチノインは、皮膚のターンオーバーを高めたり、異状化したメラノサイトの排出を促したりして、シミを薄くします。
ハートリークリニック新宿でも、ハイドロキノン(漂白剤)とあわせて用い、シミ(肝班も)の治療に役立てています。

シミを薄くするほかに、毛穴のクレンジング、毛穴の縮小、皮膚のたるみの改善などに効果があり、欧米ではニキビ治療薬といえばトレチノインが第一選択薬なんです。

欧米では普通に使われているのに、日本では使えない。
だから自由診療でしか扱えなかったのです。

それが、5月26日に行われた薬事・食品衛生審議会で、ようやく承認されました。

ただ、これをもってすぐさま保険診療が認められるわけではないと思うので、いつごろからどういう形で使えるのか、確認してます。
分かり次第アップします。
価格なども、調べてみます。

もちろん、承認されたのはニキビ治療だけで、シミに対しては相変わらず承認されていないということを理解しておいてください。
ま、なんにせよ、一歩前進なことは間違いない。
| 服部達也 | 薬・抗生物質 | 15:23 | comments(1) | - |
クラリス クラリシッド
抗生物質について説明、シリーズ。
あまり専門的にならないようにしているので、そこのところ、つっこみ無用でお願いします。
ま、ちょっと読みづらいかな。(平成20年2月15日、若干加筆修正しました)

病院でもらう抗生物質。
有名なのがいくつかありますね。
例えば「フロモックス」「ケフラール」「クラビット」・・・
聞いたり、実際に飲んだりしたことある人も多いはず。

そんな有名な抗生物質の中に、「クラリス」もしくは「クラリシッド」というものがあります。
すっごく、頻繁に、使われてます。

病院何?
分類では、マクロライド系と呼ばれ、エリスロマイシン、ルリッドなども仲間です。
厳密に言うと、抗菌剤。
*抗生物質と抗菌剤の違いですが、作られ方の違いです。ペニシリンのような、生物由来のものは抗生物質、化学的に作られたものは抗菌剤と呼び分けられるようです。べつにどっちでもいいです。

病院どういうときに処方される?
グラム陽性球菌に比較的強く(意味分からなくていいです)、マイコプラズマとかクラミジア・ニューモニア(性病のクラミジアとは違う病気)なんかにもよく使われます。
結核に使われることもあります。

呼吸器以外の領域では、副鼻腔炎や中耳炎などに使われます。
まあ、ほんと、よく処方されてます。
そんなに強くない、使いやすいイメージがあるのでしょう。
風邪の時もよく出されます。

爆弾問題点
よく使われているからこその大問題が「耐性」というもの。

菌も進化(?)するから、あんまりしょっちゅう抗菌剤を使っていると、その薬に強くなって、だんだん効きにくくなってきます。
「耐性」ができるのです。
うたれたら強くなるタイプです。

世界中を見ても、日本における耐性菌の問題はかなり深刻で(有名なところだとMRSA黄色ぶどう球菌とか)、特にクラリス・クラリシッド系の薬に対する耐性はかなり進んでます。
ある菌では、その80%くらいがクラリス・クラリシッドに耐性を作ってしまったといわれ、昔は良く効いていたからこの薬を出しているのに、今では耐性を持っているから効かなくなっている。ということも十分あります。
おかしいな、クラリシッドが効くはずなのにな・・・そんなことを思ったら、注意です。

だから、普通の風邪のときとか感染症の時には、抗生剤の乱用は控えてほしいよね。
風邪に抗生物質が無意味なことは「風邪と抗生物質」をご覧下さい。一番下にリンクが張ってあります。


鉛筆2抗菌作用以外にも使い道あるんです
クラリス・クラリシッドには、抗菌作用以外にも期待される効果があります。
じつはこっちがメインじゃないかと思われるくらい。
1:気道(気管とか気管支)の免疫増強
クラリス・クラリシッドは、気道粘膜からインターロイキンを出させ、免疫を増強させます。
難しい話はやめると、とにかく、気道を強くするということです。
2:痰の分泌減少
気道粘膜に働き(Naチャンネルとかを介して)、粘膜上の水分輸送に役立ちます。
分泌される水分を減らすのです。
痰に含まれる水分を再取り込みさせて、痰を減らします。
ただし、痰が硬くて詰まった感じになって出しにくい、という患者さんには処方しないことも考えます。
3:静菌作用
気管内に雑菌が繁殖するのを防ぎます。

これらの他にも様々な働きがあるので、感染症以外にも活用されます。
慢性の呼吸不全とか、気管支拡張症、医者によっては肺がんに使うことも。

抗菌作用以外の目的では、1年間以上も続けて処方されることもあります。
しかし、一般には(医者も含めて)、クラリス・クラリシッド=抗菌剤(使いやすい)、というイメージがあるので、
ほっとけば治るような感染症にも安易に投与して耐性菌を生み出したり、
医者としては長期に飲んでほしくて出しているのに「べつにばい菌に感染してるわけじゃないし」、といって服用を勝手に中止したりする例も多くあります。

副鼻腔炎(蓄膿)の患者さんに「クラリス+ムコダイン」を2週間処方したときのこと。
院外薬局の薬剤師さんが「これは風邪薬(クラリス)と、痰きり(ムコダイン)です」と説明して、おれは風邪じゃないからこんな薬飲まない。というトラブルになったこともあります。
僕と薬剤師さんの連携不足なわけですが、様々な作用をもつクラリス・クラリシッドだからこそのトラブルだとも言えます。

湯のみ結論
クラリス・クラリシッドは抗菌剤であるが、さまざまな作用を持ち、いろんな疾患で使われる。
ただし、乱用のせいで耐性菌が多く、抗菌剤としての効能は薄れてきている。
マイコプラズマなどの変わった肺炎にはまだまだ効果があるので、いたずらに、とりあえず、といった感覚で処方されるのは、まことに迷惑な話である。
また、様々な作用を持つわけだから、感染症以外でクラリス・クラリシッドを処方された場合、どういう目的で出されたのかを医師に確かめ、かってに中止してはならない。


銃副作用
よく起こりがちなものとしては、下痢。
たまにぽつぽつと発疹。
もちろん、ショック、アナフィラキシー、肝機能障害など、他の薬にも起こりうるものは全て。

お金ついでに価格
クラリスとクラリシッドは同じマクロライド系の抗菌薬だが、じつは価格がちょっと違う。
同じ200mg錠では、クラリスが115.0円。クラリシッドが117.3円。
単なる豆知識。

next風邪と抗生物質その1を読んでみる

nextその2も読んでみる

next勢いで、その3も読んでみる

nextこうなりゃやけだ、その4も読む
| 服部達也 | 薬・抗生物質 | 16:06 | comments(130) | - |
ジェネリック医薬品
クリニックのスタッフと話していて、ジェネリック医薬品のことが話題に出ました。
最近テレビCMなどで良く宣伝されている「ジェネリック」。
なんで安いのか。
そもそもジェネリックとは何ぞや。

ぼくは内科医時代から普通に使っていたんで、ちょっと説明してみますか。

  nextきっかけ
はじめてジェネリック医薬品の存在を知ったのは、10年前、研修医1年目。

医師免許取得して半年ほど経ち、大学病院以外での仕事を許可された僕は、早速一般病院の夜間救急外来に行ってみた。
そこで風邪で頭痛を訴える患者さんに薬を出そうとしたのだけれど、
その病院には僕の知ってる名前の頭痛薬がない!
「ボルタレン」という超メジャーな薬を探しても、「ボルマゲン」とかいう、すっげぇ微妙な名前の薬しかない。
「ボルマゲン」って怪しすぎるよ・・・

それがジェネリック医薬品との出会いで、その微妙なネーミングにすっかりやられてしまった僕は、ジェネリックを使うことに抵抗なく入っていけたわけである。

  next名称の意味は?
ちなみにその時はジェネリックではなく、「ゾロ」と呼ばれていた。
中堅クラス以上の医者はいまだに「ゾロ」と呼んでいるが、これは「ゾロゾロ」同じような薬が出てくる、というところから付けられたもので、やや軽んじてる感じがある。

そこで、薬効成分を指す「generic name」(一般名)からジェネリックと名付けられたようである。

  nextそもそもジェネリックとは?
新薬の特許を申請してから、20〜25年はその権利が保護され、新薬を作った会社が独占で販売することが出来る。
ただし、申請しても厚生労働省から認可が下りるまでには長い道のりがあり、実際に発売されるころには特許が切れるまで10年とかそれ以下しか残っていないことが多い。
特許が切れた途端にその成分を使った「後発品」を出すメーカーが出てくる。
すでに先発品が市場で活躍しているから、それに乗っかればよいだけ。
ジェネリックとは、新薬の特許が切れた後に、それと同じ薬効を持つものとして発売される後発品のこと。
言葉悪く言うと「ぱくった」ものである。(決して悪気はないからね)

  nextではどうして値段に差が出るの?
一つの新薬を開発するのには100〜150億という巨額の費用がかかる。
数十億かけて開発に取り組んでも、発売できて利益が上げられるとは限らない。
それだけの費用をかけているので、ある程度の値段をつけないと、回収できなくなる。

ところがジェネリックの場合、もうすでにその薬効成分を使った薬(正規品)は何年も市場に出ているし、研究開発費がかからない。
先発品と同じような働きをするかどうかチェックするのに1億くらいかかるくらい。

だからジェネリックが安く済むのである。
だいたい先発品(正規品?)の3分の1くらいが相場のようだ。
安く製造する技術を持っているから安く売れる、というわけではないので、そこんところよろしく。

参考までに、、、一番売れているリピトールという高脂血症の薬は、年間1兆以上の売り上げを誇る。
2000億以上売り上げている薬は30品目以上。
余裕で回収できてるんじゃない?

  next先発品との差は?
効果や安全性の点でいうと、
主となる薬効成分は同じなので、効果は同等であることが多い。
ただ、主となる薬効成分が同じであればよいので、それ以外の成分、安定剤とか固める素材は違っている。

例えばこれも痛み止めで有名な「ロキソニン」。
ジェネリックに「ケンタン」という薬がある。

「ケンタン」はつるつるのコーティングがされている。
それでいてロキソニンよりも小粒だ。
「ロキソニン」を飲んだとき、喉にひっかるような感じが残るが、それを「ケンタン」は見事に修復している。
ただ、後発品のほうがはるかに小さい。
これで本当に同じ効果があるのかと疑問に思われるほど。

  next現場の意見は?
医者の間では、安くて患者さんの負担が軽く済むのであるからジェネリックを積極的に使う、という意見もあれば、
効果的にどうも先発品のほうが安定しているようだ、ジェネリックは信用できない、
という意見もある。

どちらも極論だ。

処方箋の保険点数の関係で、ジェネリックのほうが必ず安く済むというわけでもなく、
効果が劣るというのも根拠に欠ける。

  next結局のところ・・・
ジェネリックにも多くの種類があり、値段も違う。
止血剤として使われる「トランサミン」のジェネリックには、「トランサボン」「トラネキサム酸」「リカバリン」などがある。
ジェネリックにしたいと患者さんが思っても、そのうちのどれが出るかは、やっぱり出して側の考えによるものになる。

ぼくもジェネリックを使うことに抵抗がないといっているが、ジェネリックの中でも使い慣れたものを選択しているのが現実だ。
安くて、効果が同じであればそっちを選んだほうが良いのは明白だけど、
選択肢が多すぎるのも、逆に選択の幅をせまくすることにつながるのではないかと思う。

だから、いくらジェネリックのCMを流しても、いまいち患者さんにはピンと来ないのである。
結局は専門家(医者・薬剤師)に任せるしかないのだから。

言葉だけが先行しているのがジェネリックで、医療費を下げたいという厚生労働省の思惑だけが空回りしている感も、否めない。
| 服部達也 | 薬・抗生物質 | 04:31 | comments(8) | - |
風邪と抗生物質 〜その4〜
前ページに引き続き、さあ早速抗生物質の不必要・不適切投与について書き散らしてみるよー!(めずらしくやる気)


では、患者さんや、コメントをくれた方の発言や質問を元に会話を作ってみる。

患者A:「いつも主人の腎臓を診ていて下さってありがとうございます。
先生、うちの主人、熱が昨日から出ていて家で寝たっきりなんです。風邪だと思うんですけど、抗生物質と風邪薬、処方してもらえませんか?」
医者B:「抗生物質ですか?ではフロモックスという抗生物質と風邪薬を出しときますね」
A:「ありがとうございます。抗生物質飲むと熱が下がるんで助かります」

と、突っ込みポイントが多すぎる会話になってしまったけど、実際こんな話も結構あるものだ。

_箸覇阿韻覆ぜ膺佑諒僂錣蠅防賊,飽綮佞ら薬を処方してもらうことは出来ない
 無診察診療となる可能性が大。診察をして始めて薬が出せる。
患者さんの言うままに抗生物質を出す。薬屋さんではないので、言われたとおりに薬を出してどうする。
9垣己質は解熱剤ではない。したがって、飲んで熱を下げる効果はない。
 抗生物質を飲むと熱が下がるんで抗生物質下さい、と言ってくる患者さんがあまりに
 多くて驚く。どこから得た知識なのか。
 菌を殺して結果熱を下げるとしても、そんな早く効くわけないでしょ。
た嫗,悪い患者さんにフロモックス。おすすめしません。(フロモックス自体は良い薬だ)
 抗生物質の副作用のひとつに、腎臓障害と肝臓障害がある。
 薬は肝臓で代謝されるものと腎臓から出て行くものがあり(おおまかにね)、
 抗生物質の種類によって、肝臓を悪くしやすいものと腎臓を悪くしやすいものに分かれる。
 したがって、抗生物質を出すときは、肝臓と腎臓に問題無いか把握しとくことが必要だ。

不必要な投与、無効な投与を繰り返すと、益は無いのに害が降りかかって繰り可能性が出てくるのだ。
たとえ確率が低かろうと。ゼロではない。

医師も患者ももっと正しく薬のことを学んでいかねばならない。
特に医者。(自分も含めて)


もうひとつ、抗生物質は菌を殺す(おとなしくさせるものも)薬なので、自分の免疫には関係ない。
したがって、抗生物質をいつも飲んでいると自分の力で菌を退治する力が落ちてしまうから、抗生物質を飲まないほうが良い。
という一部の人の意見にはあまり賛成できない。
そんなことは普通無いんじゃないかな。
もちろん飲まないですむならそのほうが良いのは間違いない。
| 服部達也 | 薬・抗生物質 | 16:53 | comments(88) | - |
風邪と抗生物質 〜その3〜
以前2回ほど風邪と抗生物質の関係について書いた。
僕は物事を完結せずに進めても、全く気にしない人柄なので、なんだか尻切れトンボになっていたし、逆に悩んでしまう人もいたみたい。
新しい質問がされていたけど、確かにそういう心配をしてもおかしくないなぁ・・・ふむふむ。
ということで、久々に風邪と抗生物質について。
ただし、今回は抗生物質のみに話を絞ってみます。

さて、抗生物質および抗生剤そして抗菌剤などというものが、いわゆる菌をターゲットにしているものであって、ウィルス感染には効果が期待できない。
ということは理解してもらえたと思う。
だから、ウィルス感染である風邪やウィルス性腸炎には効果がない、ということ。

ただ、風邪なんかで体力が落ちると、ウィルス感染とともに菌感染(?)も起こすことがあり、そのときには抗生物質を使うことがある
この下線、結構ポイント。
使うことある、であって、使わなければならない、では決してない。
むしろほっといても治るものがほとんどだ。

軌道修正。

抗生物質にはかなり多くの種類がある。
セフェム系(有名なのはフロモックス・ケフラール)とかニューキノロン(クラビットとか)、ペニシリン系(サワシリンとか)、マクロライド(クラリスとか)アミノグリコシド、テトラサイクリン・・・・などなど。

これら抗生物質は、それぞれ効果を発揮しやすい、得意な菌の種類がある。
多くの菌に効きやすいことを「スペクトラムが広い」などというが、なるべく原因となる菌を推定し、抗生物質を処方するのがベター。

スペクトラムの広い、なんにでも効きそうな抗生物質を投与したほうが、医者は楽である。
適当に飲んでいてもらえば良いのだから。

ただ、それは医学・疫学からみて悲劇である。
なぜなら、菌には薬耐性というものが存在する。
人間で言うなら、慣れ?
同じような薬をずっと使っていると、だんだんその薬が効かなくなってくるのだ。

これは個人的な問題ではなくて、その地域の問題そして世界の問題となる。

たとえば抗生物質大国である日本では、今まで効いていた「ある薬」に対して菌の7割が耐性を持ち始めている。
アメリカなどではまだ4割くらい。
という感じになるが、それがそのうちもっと広い範囲に拡大して行き、そのうち薬に強い新たな菌が生まれてくる。
MRSAというのもそのひとつ。
院内感染で以前かなり騒ぎになったものだ。
風邪に抗生物質を処方している医者は、こんなことも考えてもいないのだろうか。

抗生物質の乱用、不必要な投与が招くことは、もちろんこんな大それた話だけではない。

副作用の問題がある。


next続きを読む
| 服部達也 | 薬・抗生物質 | 15:38 | comments(3) | - |
風邪に抗生物質
昨日、テレビ東京の「主治医が見つかる診療所」で「風邪に抗生物質は必要か」という議論をしていた。

途中から見たので、はっきりと分からないが、やっぱり必要ない、という結論になっていたようだ。
ウィルスの話も出ていたようだ。

テレビ東京め、僕のブログを読んだな。

なんで僕を呼ばない。

それはそうと、美容外科の某先生が抗生物質や風邪についてえらそうに語ってたのが気になった。
美容外科の先生がふんぞりかえって(ものすごく態度が悪かった)風邪の話をしているのは、違和感たっぷりだった。

視聴者から見れば、専門外の話をしていようと医者は医者で、その発言は大きな影響力を持つのだろうに。

他の先生も、内科専門の先生はほとんどいなかった気がする。
発言内容がおかしかったからね。

とっても良いことを話していた先生もいたけど、なぜか遠慮気味だった。

とりあえずぼくも発言には気をつけよう。
ブログで語ってるだけだから、なんの影響力もないだろうけど。


ま、僕は美容系より内科にいた時間のほうがはるかに長いから、内科の話をしてもいーんじゃないかと、勝手に思っている。
| 服部達也 | 薬・抗生物質 | 21:41 | comments(2) | - |
風邪と抗生物質 〜その2〜
昨日、風邪に対する抗生物質の処方に対する話を書いた。
今日もちょっとまじめな文章が続くけど、たまには許してちょーだい。


僕は呼吸器内科出身。
しかも日本医科大学の呼吸器内科は、かなりレベルが高いのじゃないかと思う。(僕自身のレベルは別に・・・)

呼吸器内科は、肺炎や気管支炎などの呼吸器感染症を診ることが多い。
肺がんの患者さんでは、抗がん剤などによって免疫が低下し感染の確立が増えるし、終末期の方も感染症にかかることが多い。
呼吸器内科は、いかに細菌やウィルスの感染から患者を守るか、について日々闘っている科でもある。
他の科の医者から、抗生物質の選び方についてのアドバイスを求められることも多い。

そんなわけで、研修医になったときから、抗生物質の使い方については厳しく指導された。
指導医のS先生は、これまた素晴らしい医者で、抗生剤を使うときには
「患者さんは、どのような菌に感染していると予想されるか。また、なんでそう予想したか。しっかり考えてから、その予想される菌群に有効と思われる抗生剤を選べ」とことあるごとに話していた。

当然、ウィルス性の疾患には抗生剤を用いることはNGだし、強い抗生剤、流行の抗生剤をなんとなく使用することは許されない。


ところが、一般病院にいくと、他の医者は何も考えず、がしがし抗生剤を出しまくっている、ように見えた。

そこで、医療についてだけは熱くなってしまう若き僕は、かなり多くの医者とバトってしまった。
風邪の人に抗生剤の注射を打つのはなんでですか?意味無いんじゃないでしょうか?と。

するとどうよ。

他医「あれ?風邪にも抗生物質って効くでしょ?」
ぼく「いや、風邪はウィルス性のうんちゃらこうちゃら・・・」
他医「患者さんが希望するもんだからさぁ」
ぼく「薬屋さんじゃないんだから、打ってって言われて注射するのって・・」
他医「いやほんとは、肺炎になるのを予防するために打ってるんだ。そう、ほんとはそう。」
ぼく「・・・1990年、メイヨークリニック(アメリカの有名な医療機関)の大規模試験で、風邪の人に抗生剤を投与しても、肺炎を予防する力は無い。っていう結果が出てますが」
他医「・・・」
横でその医者と癒着している薬メーカーの業者さんが苦笑い。これが日本の医療の実情か。


僕は根が素直なので、医療を信じたい。
おそらく、ある程度年配の医者は、抗生物質に対する教育がちゃんとなされていないだけなんだと思う。
しかたない。
医療は進歩していくものだから。(僕も最近乗り遅れ気味)

患者さんも、そんな医者の治療や教えを受け続け、正しい知識を得ないまま
抗生物質=万能薬
という考えになんとなく、なっているんだと思う。
この「なんとなく」っていうのが難しいところだと思うよ。

べつに、カゼ症候群に抗生物質を処方したからといって症状が悪化するわけでもないし。

でも、必要ない薬は飲まないほうがよい。
知識が間違っているのなら正したほうが良い。
医療に対しては真摯な気持ちであるべき。

医者になる前は、こんなに熱い医者になるとは、自分でも思わなかった。
でも、自分の選んだ仕事に対して真剣に生きるのは当たり前だよね。
とくに医者ってのは人の人生に関わる仕事なんだからさ。
僕も間違うことはあるけど、正しい意見には従うよ。
医者のプライド、っていう問題はまた別に書くけど。

なんだかわけわからない長文になったけど、とにかく、カゼ症候群には抗生物質は無効。
カゼですね、抗生物質出しときます、っていう医者はどうかな?
ってことで、大丈夫?

間違えてはいけないのは、カゼ症候群は蓄膿症や溶連菌感染症や扁桃腺炎などなどの、抗生剤を使ったほうが良いと思われる病気と区別されなきゃいけないし、
カゼで抵抗力が弱まり、細菌感染も引き起こすことは十分考えられる。
そしてそのときには抗生剤を正しく選択して使う必要があるだろう。


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| 服部達也 | 薬・抗生物質 | 01:01 | comments(27) | - |
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