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美容内科医 服部達也 ブログ
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のんびり訪問診療記 その3
江戸川区で訪問診療をしていたときの記憶である。
訪問診療は、自宅に入り込んで診察をするという特殊性から、外来では味わえない経験をさせてもらう。


さて、前回は家で看護をし、家で看取ることを決めたご家族の話でした。
今回は80代の女性(仮にBさん)で、同じように全身麻痺になってしまった方のお話です。

この方はある施設に入所していたが(老健だったかな)、入所期間が終わって自宅に戻ってきたという。
ちなみに老健(老人介護施設)とは、病院から自宅へ帰るリハビリ施設と定義されているところ。
ということで、入所は原則3ヶ月までとなっている。
老健に関しては行政と現実の差があまりにも大きく、絶対に取り上げなきゃいけない題材なので、あらためて書く予定。

Bさんの介護者は、息子さん。
独身で40代の方。

お母さんが帰ってきて、自宅でこれから介護をしなければならないということで、わざわざ部屋を増築し、お母さん専用の部屋をつくってその日を待っていたということ。
おお、えらいじゃん。
と、思っていた。

患者さん(Bさん)は、手足が拘縮してしまっていて、ぜんぜん関節が伸びない。
言葉も発せられない。うなずく程度。
自力では何もできないのである。

訪問診療は週1回のペースで行い、訪問看護、訪問介護(ヘルパーさん)とを併せて、ほぼ毎日行く形になっていた。


何回か通っているうちに、異常に気づき始める。
診察に伺うと、しきりに水分を欲しがる。
とこずれが悪化していく。
夏なのに、部屋はとても暑い。

ヘルパーさんが1日3回来ていて、看護師さんも週に3回。
医者(ぼく)も週1回来ているが、話を聞いてみると、それ以外の介護を息子さんは何もやっていないのだという。

床ずれを防ぐには、数十分おきの体位交換(体の向きを変えること)が必要だが、それができなければ、薬だけでは改善できない。
自力で動けないひとに、テーブルの上に飲み物を置いておいても、とれるわけがない。
夏場の部屋の高温は、ただでさえ水分を取れていないから、命とりだ。

介護ステーションやクリニックが連携して介護・治療に携わっても、やはりメインは家族。
家族に介護する心構えがないと、自宅介護はまず無理な話。

診療に通う頻度を週に2回3回と増やしてみたが、それでも限界はある。

体調が悪くなっていくばかりで、息子さんに話をしても、「施設はお金ばかりかかるし、入れるのが大変だから家で看る」の一点張り。
部屋をわざわざつくっても、ふだん鍵をかけてしまっていて立ち入りできないようになっている。
自力で動くことができない患者さんの部屋に鍵をつける必要が果たしてあるのか。

家で看ると言い張っていても、結局みることはなく(息子さんは仕事をしていないので、普段家にはいるのだ!)、全部介護サービスまかせ。
とこずれが悪化(栄養状態が悪いと治らない)してきたので、入院させて治療させようと提案しても、それも拒否。

これは虐待ですよ、といってもわかってもらえず。

結局、クリニックと訪問サービスのかたの粘り強い交渉でなんとか入院させることになったが、自宅で一人で介護するのは並大抵の努力ではむずかしく、それなりの心づもりが無ければ成り立たない。
自宅で寝たきりの親を介護しているといえば聞こえはいいが、実際にオムツすら替えず、水を飲ませることもしないのでは、それは実際のところ虐待である。


国のばかげた政策では、自宅で介護させるケースを増やすといっているが、受け入れる側の問題も分かっていない状態ではしょせん無理な話なのである。
療養型ベッドを廃止するのは、家で介護できる患者さんを家に帰すためといっているが、こういうケースがレアではないことを知って欲しいものである。
| 服部達也 | 回想録 | 12:48 | comments(0) | - |
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