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re-Heart Note

リハート、それは心癒す日々。

美容内科医 服部達也 ブログ
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反省文 その1
いろいろ医療問題とか、医者のこととか偉そうに書いている私ですが、もちろん自分自身いろんな失敗を繰り返し、それを経験としてがんばってきた。
今日は、そんな失敗談を、思い返してみる。


医者も2年目ともなると、すこし技術的にも自信が出て、何でもやりたがるようになる。
経中心静脈栄養といって、腕からの点滴ではなく、高カロリーの輸液を行うためにぶっとい血管にカテーテル(管)を差し込む手技がある。
これらのぶっとい血管は目に見えず、解剖学的な知識と手の感覚を頼りに太い針を刺すため、なかなか穿刺が困難なことがある。

僕が診させていただいていた肺癌の患者さん。
肺癌の中でも悪性度が高く、転移をしてしまい、放射線治療をした。
そして放射線治療の副作用で、食道に炎症を起こし、食事が摂れなくなってしまった。
そうなると、固形物を無理に飲み込むと悪化させてしまうから、高カロリー輸液で栄養を補い、炎症が治まるのを待つ。

そこで患者さんにその旨を伝えて、中心静脈栄養を行いましょうと提案。
しかし患者さんは、そんな太い点滴を入れるのはいやだ、食べなくても水飲んでりゃ死ぬことはないと拒否。
たしかにその通りなのだが、放射線治療に耐えるには、それなりに体力が必要で、そのためにも高カロリー輸液は必要なのである。
そう説得し、しぶしぶ患者さんの了解を得たのであるが、自分としてはカテーテル留置に自信があったし、やや高度なテクニックが必要とされる首の血管への穿刺を行うことにした。
近くには頚動脈や気管が通っていて、手技を間違えると大変なことになる。

で、いざ始めてみたのだが、いっかな血管に刺さらない。
血管にあたっても、カテーテルが入っていかない。
すったもんだしたあげく、患者さんも疲れてきてしまい、中止…

結局、患者さんは経口の栄養剤を飲んで、放射線治療を乗り切ったわけだが。
手技がうまくいかなかったということでも気持ちがへこんだのであるが、それよりなにより、乗り気ではない患者さんを説得して、なおかつ失敗して心身ともに負担をかけてしまった。
しかもその裏には、自分の手技への自身とおごりが少なからずあったわけで。
最終的にそれをせずとも乗り切ったわけだから、本当にその治療が必要だったのか、冷静に考えることができていたのか。

自分の判断の甘さと、技量の未熟さで、患者さんに負担を強い、信頼を損ねる結果を招いてしまった。
このことは、自分のおごりを鎮めるとともに、患者さんの視点に立って物事を考えるための反省材料になったのである。

患者さんにはしっかり謝罪し(結局、先生の練習台にさせられただけじゃ無いのか、と批判された)、その後は良い関係に修復できたが、迷惑かけたことは素直に反省するしかない。

ただ単に注射を失敗することは、ままあるが、心理的な要素も絡んでいたことは、首の動脈を傷つけるような大きな事故を起こさなかったことがマシなだけで、いまだに思い出しては反省しているのである。
しかも、その患者さんは結局半年後に亡くなってしまい、よりいっそう苦い思い出となっているのである。
| 服部達也 | 回想録 | 14:56 | comments(5) | - |
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コメント
苦い思い出(経験)もきちんと受け止めていらっしゃって
現在まで、またこれからも大切にされている
その姿勢が立派だと思います。

人は簡単に驕りの気持ちを持ってしまいがちですが
常に学びの姿勢、省みるきもちを持ち続ける事が
どのような仕事でも本当に大切ですね…。
| しのっぴ | 2008/03/28 10:13 PM |
>しのっぴさん
わたくしは基本ネクラな人間ですから、いつまでも過去のことでくよくよしているだけかも知れません・・・
あの時こうしていればなぁー、と思うことがいっぱいあります。医者と言っても、免許を取った瞬間から技術も知識もマックスになるわけじゃないですからね。
ま、人生トライアンドエラー。
患者さんに迷惑かけないようにがんばりまっす。
| 服部 | 2008/03/29 2:59 PM |
ワタクシも相当根暗なので、いつまでも(相手が忘れても)くよくよしているという時間の無駄遣いをすることもあります。あ、自分の場合、話のレベルが低かったかも
(^^;;;私もお客様に迷惑かけないように頑張ります!!
| しのっぴ | 2008/03/29 11:31 PM |
今日初めて、読ませて頂きました。看護師を始めてうん十年
お医者さんが大嫌いでした・・・。自分自身が先天心疾患をもってる事が分かってからは一段と。大変なお仕事なのは、重々理解しているつもりなのですが、患者様の立場に立てない先生方を見ては怒りと共に悲しみが湧いてきます。
その先生の指示のもと仕事をしている自分に対しても・・・。
服部先生のような先生方が沢山いて下さると良いのに。看護師でありながら、もう病院では働きたくない!と思い続けている情けない私でした・・・(はっ!いきなり愚痴ってしまいました)
| トキ | 2009/10/12 10:18 PM |
>トキさん
こんにちは、コメントありがとうございます。
いろんな医者がいますし、いろんな人間がいます。
ぼくがいい医者かどうかは分かりませんが、患者さんに対してはなるべく真摯に接しているつもりです。
仕事以外では、かなりいい加減でひどい人間だと思いますけど…

医療ってのは、やりがいがあって、良い仕事ですよ。
自分が楽しく働ければ、患者さんにもそれが伝わるはずですし、周りの人も分かってくれるはず。
トキさんも、せっかく働くんだから、楽しくやっていきましょー!
| 服部 | 2009/10/13 7:07 PM |
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