blog index

re-Heart Note

リハート、それは心癒す日々。

美容内科医 服部達也 ブログ
<< 肉を食べる | main | 訪問診療できる範囲 >>
スポンサーサイト

一定期間更新がないため広告を表示しています

| スポンサードリンク | - | | - | - |
在宅医療の危機(だと思う) 
さてさて、と。
僕はハートリークリニックが休みの水曜日と日曜日、他のクリニックで訪問診療の仕事をしているのは前にも書いた。
もう長いこと訪問診療に携わっているけど、これがいま結構ピンチな状況なのだ。
医療関係者なら大抵知っていることだと思うが、一般には知られていないと思うので書いておこう。

訪問診療には大きく分けて二つの形態がある。
一般在宅と施設在宅だ。
一般在宅というのは、普通の個人の家に行って診療するもの。
それに対して施設在宅というのは、老人ホームやグループホームなどに入所している方を訪問して診療するもの、である。

4月からの診療報酬で、この施設在宅に対する報酬がものすごく減らされてしまったのだ。
というのも、施設ごとに訪問診療すると、1日のうちに患者さんをまとめて診ることができるため収益が大きく、悪さをする業者が一部いたことが新聞などで取り上げられたのだ。
そりゃ儲けすぎじゃん、ということで診療報酬が大きく引き下げられたのだが、まじめにやってきた医療機関にとってはものすごく大きな打撃となってしまうこととなった。


いままでは、2週間ごとに月2回、施設に入居している患者さんのところに行って診療をしていた。
(*診察の日以外に体調が悪くなれば臨時に往診して診療する)
ところが4月からは、同じ施設にいる患者さんを同じ日に2人以上みた場合には、在宅時医学総合管理料や訪問診療料が大きく下げられてしまうことになったのだ。
つまり、いままで同じ日に全員診ていたものが、別々の日に一人ずつ診て回らないといけないということになってしまったのだ。
(*まあそれでも今までより報酬が下げられてしまうのだけど)

月に1度は同じ日に診ていいということに譲歩されたから、ます月の最初のほうに全員診る。
そんで、残りの日を使って、他の入居者を一人ずつ順番に診て回ることになる。
これが大変なのよ。

今働いているクリニックでは、たぶん20くらいの施設を診ていると思うけど、その施設を転々とまわって一人だけ患者さんを見たら次の施設に行ってまた一人診て・・・というのを繰り返すことになる。
1日のうちに10〜15の施設を回るのだけど、実際に患者さんを見ている時間よりも、移動している時間のほうがはるかに長い。
しかも、患者さんを多く抱えているクリニックほど医者をたくさん用意しておかないとさばけなくなるから、医者の補充も大変だ。
そんなわけで、施設在宅を中心にやってきた医療機関は、医者をたくさん補充して対応していくか、報酬がものすごく減ることを覚悟して今までのようなやり方でやっていくかしかなくなったわけだ。
どちらにしても収益はものすごく減るから、訪問診療をやめざるを得ないクリニックもたくさんあるし、つぶれたクリニックもたくさんある。
患者さん自体が減ったわけではないから、残った医療機関にしわ寄せが来るんだけど、収益が上がらないから引き受けてくれるところが無かったりする。
そうなると施設の職員が入居者を病院に連れて行くことになって、ただでさえ介護スタッフは足りていないのに、負担だけ増えちゃう。

患者さんにとっても大きなデメリットがある。
月の最初に全員診て、それからは順番に一人一人診ていくわけだが、そうなると全員診た日から間もなく個別に診てもらう日が来ちゃう人も出てくる。
たとえば6月2日に全員往診の日で診てもらったけど、6月4日に個別往診の日が来てしまうと、わずか2日空いただけでまた診察が入ることになる。
そうなると月に2回診てしまったから、次の診察は次の月までなくなる。
1か月近く診察を受けられなくなってしまうのだ。
2週間に1度診てもらってた方がよっぽど患者さんのためになるというのに。

今のクリニックは南は大森、西は調布や西東京、東は綾瀬のほうまで、担当している老人ホームがある。
昨日なんか、代々木から大森に行って板橋に行き、和光に行って大泉に行き調布を回って代々木に帰ってくるというルートだった。
途中で道が混んでくると施設に着くのが遅れて文句を言われるし、移動中にパソコンに診察内容を打ち込んでると車酔いするし、ほんとしんどい。
移動時間が長くいから1日で見る患者さんの数は減ったけど、疲れ具合は今のほうがひどい。


近年まれに見る改悪といえる今回の改定。
見直してもらわないと、撤退する医療機関が増えて大変なことになる。
医者が足りてないから僕も休日を返上して働いてるけど、いつかいろいろ破たんするね。
僕の体調も含め、このままだとこれからどうなるか分からんよ。
| 服部達也 | 医療問題 | 17:12 | comments(4) | - |
スポンサーサイト
| スポンサードリンク | - | 17:12 | - | - |
コメント
以前の診療報酬(一人に月2回の往診で4〜5万円)が高すぎだったのではないでしょうか。在宅医療に対して頑張っておられる医療者がいる半面、本当にその金額を受け取るに値するサービスを提供していない場面も実際は多かったという結果ではないかと思います。
| minaka | 2014/06/19 6:54 PM |
>minakaさん
こんにちは。
たしかに、いままでは高すぎましたね。
でも今は安すぎる。
もうちょっとうまい落としどころはなかったものかと思うんですけど、料金は別にして、今の体制は患者さんにとってデメリットが大きすぎます。

なんかこう、よくない医療機関だけ締め付けられる方法がないもんですかね。
そんなうまい方法なんてあるわけないとは分かっているけど・・・
| 服部 | 2014/06/21 3:01 PM |
服部先生、ご無沙汰しています。
訪問診療が大変なことになってしまったようですが、
お体は大丈夫でしょうか?

今回の改定は、訪問診療の現場を知らない偉い人たちだけで
決めたことなのでしょうか?
第一に、施設に入所されている方のことを考えて、
制度を変えて欲しかったですね。
2週間ごとに月2回、お医者さんに診てもらった方が、
入所者もその家族も安心なのに・・・。
それに、このままではお医者さんも、施設の職員さんも
疲弊してしまいますよ。
何かもっと良い方法がなかったのでしょうかねぇ。
残念です(ノ_・。)
| えみ | 2014/06/21 11:09 PM |
>えみさん
お久しぶりですね。
医者が足りないことだし、休みの日に何もすることないし働いちゃお!と思って頑張ってますが、さすがに休みが1日もないと疲れますね。

さて、今回の改定で一番迷惑を受けているのは施設に入所している患者さんです。
今日の医療ニュースでも、在宅から撤退している医療機関が増えているといっていました。
儲けすぎてるクリニックを叩こうってのはなんとなくわかりますが、患者さんのことを考えないのはいかんです。
| 服部 | 2014/06/23 5:23 PM |
コメントする


1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
293031    
<< March 2020 >>

bolg index このページの先頭へ